少し前の軍需産業、防衛関連銘柄のイメージはどうでしたか?
ディフェンシブ
これだと思います。というか私自身がそうでした。
国が相手なので、収益が安定している。
景気に左右されない。
これこそ防衛関連銘柄が、ディフェンシブなイメージが強かった理由でしょう。
世界的な情勢不安などから、日本も防衛費の増額を迫られました。
「防衛」は一大テーマとなり、日本株でも長期的なトレンドとなりそうです。
じゃあアメリカは?
Xを見ていると、米国株の話題というか個別株を取り入れている方が、かなり減った印象….
というわけで!個人的に監視銘柄となっている米国株防衛関連銘柄を紹介したいと思います!
ぎんが注目する米国株防衛関連銘柄
ロッキード・マーチン(ティッカー:LMT)
F-35という戦闘機を聞いたことはありませんか?
日本航空自衛隊の主力戦闘機の名前です。
この戦闘機を設計、製造しているのがロッキード・マーチン社です。
米国株で、軍需産業をやっている防衛銘柄といえば?と聞かれたら、このロッキード・マーチンの名前を挙げる人も多いでしょう。
ロッキード・マーチンの最大の部門は、航空機部門でその収益の3分の2以上をF-35から得ています。
これは、高性能戦闘機市場でF-35の存在感が大きく、ブラックボックスなどロッキード・マーチンしか触ることのできない部分が存在しているからです。
そのほかの部門として、ヘリコプターを含むロータリー・ミッションシステム部門があります。
傘下企業に「シコルスキー・エアクラフト」という企業があります。
この企業、日本の三菱重工とパートナー関係にあり、シコルスキーからのライセンス提供のもとで、三菱重工は防衛省向けのヘリコプターを生産している実績があります。
日本企業との関りもあるんだ!
残りの部門が、ミサイルと火器管制部門、宇宙部門を有しています。
ロッキード・マーチンといえば?戦闘機!という覚え方で良いと思います!
ボーイング(ティッカー:BA)
ボーイングといえば、旅客機ですね!
こちらは、民間航空機部門。
もうひとつが、防衛、宇宙とセキュリティ部門です。
日本でも一時期話題になっていたオスプレイは、ボーイングが共同開発しています。
最後にもうひとつある部門が、航空会社向けにサービスを提供するグローバルサービス部門があります。
2024年11月時点のボーイングは直近の四半期決算で連続赤字計上中。
また、株価や株主還元を意識しすぎたという評価もあるくらいで、財務も悪化。
さらにストライキの影響で、製品の納期遅れなど問題が多くあります。
これらの要因もあり、株価は下落トレンド。
まずは、ストライキが落ち着かない限りこれは続くかもしれません。
RTX(ティッカー:RTX)
パソコンに詳しい方は、エヌビディアが浮かぶ社名ですが、全く別会社。
旧社名をレイセオン・テクノロジーと言います。
旧ダウ銘柄で、次に紹介するハネウェルと入替になった銘柄です。
入替当時、業績が悪かったわけではなく、Appleの株式分割に伴うウエイト比率の問題で入れ替えとなりました。
合併前からだと、80年以上ダウ構成銘柄であり続けました。
過去の記事では4つの部門に分かれていると紹介していましたが、現在は大きく3つに分かれています。
・コリンズエアロスペース
・プラット&ホイットニー
・レイセオン
この中でも最もイメージしやすいのは、レイセオン部門。
有名製品として「パリオットミサイル」があります。航空自衛隊では「ペトリオット」ともいうそうです。(PAC3とも)
パリオットミサイルは日本の三菱重工がライセンス契約のもと生産している実績があります。
サイバーセキュリティ技術でも有名で、サイバー攻撃の防衛やAI分野で今後の成長に期待できると思います。
プラット&ホイットニー部門では、航空機のエンジンの製造をしています。
日本企業のIHIは、直近の決算発表で黒字転換によりストップ高を記録しましたよね。
それまで最終赤字を残していたわけですが、その原因となったのがこのプラット&ホイットニー部門です。
2023年に航空機エンジンの製造工程で不具合が判明したことで、RTXの株価が大きく下がりましたが、IHIも共同開発に参画していて、大きく株価を落としました。
コリンズエアロスペース部門では、航空機のフライトデッキの自動化といった民間機向けのサービスも展開しています。
日本との関りの多い企業とも言えます。
それほど巨大企業なのです。
過去に分析記事を書いています!
ハネウェル・インターナショナル(ティッカー:HON)
先ほど紹介した、RTXと入れ替えでダウ銘柄入りを果たしたのが、このハネウェル・インターナショナルです。
この企業が提供しているサービスは多彩で、世界トップレベルの複合企業です。
イメージしづらいですが、重工業大手といえばわかるでしょうか。
この企業は、防衛に特化しているわけではありません。
例えば、半導体製造に必要な電子材料の提供、産業向けのロボティクス、建設現場向けのヘルメットや耳栓など多種多様な製品を提供しています。
じゃあ防衛関連ではどのようなものを提供しているのか。
戦闘機の「F-35」などに使用する部品を生産していています。
また、スペクトファイバーという、防弾素材の提供もしています。いわゆるシールドと呼ばれるものですね。
2024年6月には防衛関連企業の買収もしており、防衛事業を強化している一面もあります。
ノースロップ・グラマン(ティッカー:NOC)
あまり聞き馴染みのない企業かもしれません。
ノースロップ・グラマン!
ステルス爆撃機や無人航空機といえば、この企業でしょう。
このような三角形の航空機をニュースでみたことはありませんか?
こちらはイラストですが、このような三角形のような形をしたステルス爆撃機「B-2スピリット」を開発、製造しています。
通常の航空機との違いが、水平尾翼と垂直尾翼がないことが特徴。
現在のプロジェクトには、新型の長距離爆撃機「B-21レイダー」の開発をアメリカ国防省と契約していることで、安定した収益を有しています。
今後、戦闘機は無人化が進むことが考えられます。
その中で、無人航空機を開発しているノースロップ・グラマンは中心となってくる可能性があると思います。
ゼネラル・ダイナミクス(ティッカー:GD)
ゼネラル・ダイナミクスといえば?と聞かれると「潜水艦」でしょう。
同社は、アメリカ海軍から原子力潜水艦を受注、建造しています。
核動力艦を供給できる数少ない企業です。
原子力潜水艦、駆逐艦、石油タンカーなど船舶の建造をしているのが海洋部門となっています。
そのほかの部門には、戦車や装甲車、弾薬を製造する戦闘システム部門。
テクノロジー部門には、アメリカの防衛や諜報機関向けなどにサービスを提供したり、軍隊向けのシステム製品を提供しています。
軍需特化のように思いますが、もうひとつの部門である航空宇宙部門ではビジネスジェット機の開発を手掛けています。
いわゆるプライベートジェットと呼ばれる航空機。
民間向けの航空機も手掛けているんです!
ガルフストリームっていう機体が有名だよ
防衛以外の分野である航空宇宙部門、アメリカ政府向けのテクノロジー部門を展開しているのが、ひとつの強みともいえます。
L3ハリス・テクノロジーズ(ティッカー:LHX)
L3ハリス・テクノロジーズは、
- 指揮
- 統制
- 通信
- コンピューター
- 情報
- 監視
- 調査
の頭文字をとった、「C4ISR」向けのシステムに強みがあります。
この意味いまいちわかんないですよね、
軍隊の動きをイメージしましょう。
まず敵の情報を「監視」、「調査」で手に入れる。
↓
「情報」を指揮官へ「通信」。
↓
これをもとに軍を「指揮」する。
↓
命令を「通信」して部隊を「統制」する。
こんな感じで軍事行動を行います。
この一連の流れを適切に運用するために必要な技術が「C4ISR」です。
例えば、レーダーシステムや無線機などが挙げられます。
日本の自衛隊には電力増幅機能などを提供しています。
また、日本の航空会社へはフルフライトシュミレーターやサポートプログラムを提供しています。
テキストロン(ティッカー:TXT)
テキストロンは、特殊航空機の設計、製造などを主な事業としています。
日本でなじみのある機体は「セスナ」でしょうか。
軍事向けとしては、ヘリコプターやティルトローター機の製造をしています。
オスプレイはボーイングが共同開発していると紹介しましたが、この共同開発先がテキストロン傘下企業のベル・ヘリコプターです。
テキストロンのヘリコプターなどは、傘下のベル・ヘリコプターが主に担当しているのでベル部門と呼ばれています。
テキストロンシステム部門では、無人航空機や装甲車を製造しています。
ロボット陸上車両がすごいですよ。
いずれ来る無人化の未来が見えました。
ゴルフカートやスノーモービル、全地形対応車など特殊車両を製造している子会社が傘下にあったりもします。
特殊な航空機や車両を作っているイメージ
ハイコ(ティッカー:HEI)
ウォーレン・バフェット氏がApple株を大きく売却する中、逆にこのハイコを買い増しました。
バフェット氏、アルタ・ビューティーとハイコの株式持ち分追加(Bloomberg)
Xでは、Apple株を売却していることは話題になっていましたが、購入した銘柄は話題になっていませんでした。
ハイコは、民間航空機の代替部品や防衛製品用部品の製造をしています。
作っている部品がすごくニッチな部品で、特に航空機の部品は認証が必要なため参入障壁が高いとされています。
例えば、エンジンに使用するバネやボルトなど。
凄い小さい部品を作ってるみたい!
ハイコの部品が選ばれている理由は、品質の良さとコスト削減にもなるからだとか。
アメリカ国防総省の請負業者であり、航空機エンジンとそのパーツ、バッテリーや断熱材の製造と供給、修理や返品など政府向けにさまざまなサポートを提供しています。
航空機の武器システムのサポート提供は、日本でも現役のF-15も対象になっているようです。
そんなハイコは買収にも積極的で、2019年では1年の間に7件の買収を完了させています。
この買収に積極的な面は、バークシャー・ハサウェイにつながる気もします。
株価を見ると、2014年11月14日から2024年11月17日までの約10年でテンバガーを達成しています。
カーチス・ライト(ティッカー:CW)
少し聞き馴染みがあるかも知れません。
カーチス・ライト!
ジブリ作品の紅の豚に登場する男性で似たような名前の人いましたよね。
右の青い服の人。(ドナルド・カーチス)
ドナルド・カーチスが搭乗する青い飛行艇は、カーチス社の実在した機体がモデルらしい。
さらに世界初の動力飛行機を開発したライト兄弟と会社の設立に関わりがあります。
ここまで語ると航空機を作っているのかと思いますが、現在は製造していません。
航空機は製造していませんが買収などで事業を拡大したことで、事業が多角化しています。
収益のほとんどが、防衛と航空宇宙の市場が占めています。
海上では発電機やモーター、原子力潜水艦と空母の装備、原子力推進システムの部品などを提供。
陸上では、戦車などに電動砲塔駆動照準と安定化システムなどを提供しています。
防衛以外では、カーチス・ライトは原子力発電設備への部品の提供、設備の設計なども行っています。
また、一般の自動車やトラック、農業機械にも技術を提供していて、多彩な方面で事業をしています。
2021年以降カーチス・ライトは、株主の収益と営業利益の最大化に重点を置き、成長戦略へと舵を取りました。
配当金の増額や自社株買いなども実施したことで、2024年までの3年間で株価が2倍以上に上昇。
株主価値を意識した方針には好感できますね!
ぎんが注目する米国株防衛関連銘柄まとめ
いくつか紹介してみました。
以下のような報道もあり、ますます防衛関連には資金流入の可能性があります。
日本の防衛費、GDPの3%を要求?第2次トランプ政権でどうなる日米関係(Yahoo!ニュース)
国際情勢の悪化が懸念されたり、防衛費増額といった国策に乗っておいて損はないです。
国策に売りなしって言葉ありますからね。
どの企業にも共通することは、宇宙事業がある。
衛星や惑星探査機などで活躍しています。
下手に新規上場する宇宙関連に投資するより、こういった銘柄の方が安定感はあると思いますね。
世界に軍需企業はたくさんありますが、アメリカにもビッグネームが多くあります。
今後、円高ドル安展開が予想されていることも考えると、米国株が投資しやすくなると思います。
(トランプ氏の政策は円安ドル高になりそうな気もするけど…)
落ちてきたら拾う。
これでいいのかなあと思っています。
この記事で紹介した銘柄は、監視銘柄であり筆者が全て保有している銘柄ではありません。
あくまで参考程度にお願いします。
※この記事で紹介している銘柄は推奨しているわけではありません。あくまで、管理人個人の監視銘柄です。投資にはリスクが伴います。投資する際は、自己判断・自己責任でお願いします。